GEIENDO芸苑道
インバウンド成功事例Hawaiʻi's Kūkulu Ola: Tourism Funding for Living Culture

観光局が、
伝統文化の担い手に資金を

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約7分
州の観光局が、伝統文化の担い手に資金を——ハワイ「Kūkulu Ola」の仕組みと2026年の30事業
ANSWER

ハワイ州観光局(Hawaiʻi Tourism Authority、HTA)は、ハワイの伝統文化を受け継ぎ、住民と旅行者の双方に本物の体験を届ける団体に資金を出す「Kūkulu Ola(生きたハワイ文化プログラム)」を運営しています。2026年7月23日には、2026年7〜12月に行う30事業へ90万ドルを配分すると発表しました。前年度(2025年7月〜2026年6月)は26団体に98万ドルでした。フラ・ショーや音楽の催し、文化財の保全など、観光の財源を「文化の担い手」に回す仕組みです。

このテーマの全体像はこちら旅行者の行動を変える海外の仕組み|パラオ・アイスランド・コペンハーゲン・ハワイの事例

What It IsKūkulu Olaとは?

Kūkulu Olaは、ハワイの文化を祝い、守る地域の取組を支えるHTAのプログラムです。HTAは、ハワイの伝統・慣習・価値観が次の世代に受け継がれるよう取り組む非営利団体や文化の実践者に資金を提供しています[1]。運営は、ハワイ先住民の地位向上に取り組む団体Hawaiian Councilの一部門であるKilohanaが担っています[1][2]。

2026年7月の発表では、選ばれた団体について「ハワイの文化的な慣習を受け継ぎ、教育の機会を提供し、文化的な場所を守り、地域の誇りを育てる力」を評価したと説明しています。多くの事業が、世代を超えた学びや次の担い手の育成を含み、住民と旅行者の双方が参加できる形をとっています[2]。なお、芸苑道とHTAおよび各団体との提携関係はありません。

Fundingどれくらいの資金が、何件に配分されているのか

Kūkulu Olaの配分額と件数
  • 2025年7月〜2026年6月98万ドル
  • 2026年7月〜12月90万ドル

2026年7〜12月の半年間で90万ドル。前年度(1年間)の98万ドルに近い額です。

出典:Hawaiʻi Tourism Authority, Kūkulu Ola(プログラムページ)および2025年9月11日・2026年7月23日の発表をもとに作成

HTAのプログラムページによると、次の募集(2027年1〜12月の事業)は2026年10月に始まる見込みです[1]。

Funded Projectsどんな事業が選ばれているのか

2026年7〜12月の30事業は、州全体・ハワイ島・カウアイ島・マウイ郡・オアフ島に分けて発表されています。タブを切り替えると、主な事業をご覧いただけます[2]。

  • Kani a Ola(メレ=歌の実演家の経済的な自立):ハワイの歌の実演家の収入を支えるため、著作権使用料の研修や有償の出演機会をつくり、リゾート地区で無料の公演やワークショップを行う事業です(2025〜2026年度の説明)[3]。2026年7〜12月の対象にも選ばれています[2]。
  • Hawaiian History Month 2026(Hawaiʻi Ponoʻī Foundation)[2]

前年度の対象には、ホテルや地域の施設で毎月2時間のハワイ語の入門講座を開き、言葉・物語・詠唱や歌を通して責任ある観光を育てる事業も含まれていました[3]。また、ハワイ王国最後の女王をたたえる子どものフラ大会(Queen Liliʻuokalani Keiki Hula Festival)には、ハワイと日本の25のハーラウ(フラの教室)が出場すると紹介されています[3]。

Culture in Resort Areasリゾート地区で、文化を無料で届ける仕組みも

HTAは、Kūkulu Olaとは別に、リゾート地区や港で文化を届ける「Hoʻokipa Malihini Initiative(ホオキパ・マリヒニ)」も設けています。名前は「客人を迎える」という意味で、2025〜2026年度の募集要項では、次のような内容を求めていました[4]。

  • ワイキキ、コオリナ、カアナパリ、ワイレアなど指定されたリゾート地区や港で、定期的に、無料で音楽や文化に触れるプログラムを行うこと
  • 文化の実践者、工芸家、音楽家、言語の専門家などを支え、ハワイの文化を敬意をもって正確に、来訪者に開かれた形で伝えること
  • HTAが公開している表記や表現の手引き(Maʻemaʻe Tool Kit)にできるだけ従うこと

募集要項によると、HTAはハワイ州法によって、ハワイ先住民の文化と地域の独自性を守り、文化の実践者や文化的な場所が観光を支える形で支えられ、育まれるようにする責任を負っています[4]。観光の財源を文化の担い手に回すことが、制度として位置づけられている点が特徴です。

Our Proposal芸苑道からの提案:宿と担い手が、ともに続く形を

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

1.一度きりではなく、続く関係を

ハワイの例では、実演家の収入を支え、有償の出演機会をつくることが事業の目的に含まれていました。日本の伝統芸能も、担い手が演奏を続けられる環境があってこそ受け継がれます。季節ごとの定期的な催しなど、貴施設と実演家が長く関われる形をご提案いたします。

2.「正確に、敬意をもって」伝える

HTAは、文化を正確に、敬意をもって伝えることを求めています。芸苑道では、演目の背景、装い、所作の意味を実演家自身の言葉でお伝えし、演出のために伝統の文脈を崩さないことを大切にしております。

3.お客様と地域の方が出会う場に

ハワイの事業の多くは、住民と旅行者の双方に開かれています。貴施設のロビーや庭で、地域の方もお招きする催しを開くことで、お客様にとっては土地の文化に触れる機会となります。演目の選定・空間の設え・進行の設計まで、講師1名あたり¥88,000〜を目安にご相談を承っております。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問地域の芸能の担い手と、どう継続的に関わればよいか実演家との関係づくりを含め、無理なく続けられる形をご提案いたします。
  • 問館内の文化体験を、正確で敬意のある内容にするには演目の背景や表現について、実演家の立場から率直にお伝えいたします。
  • 問お客様と地域の方が、ともに楽しめる催しは成り立つか貴施設の立地と空間に合わせて、開き方を含めてご相談を承っております。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

FAQよくある質問

Kūkulu Olaとは何ですか?

ハワイ州観光局(HTA)が、ハワイの伝統文化を受け継ぎ、住民と旅行者に本物の体験を届ける団体へ資金を出すプログラムです。

2026年はいくら配分されましたか?

2026年7〜12月の事業として、30事業に90万ドルが配分されました。前年度(2025年7月〜2026年6月)は26団体に98万ドルでした。

日本にも同じような仕組みはありますか?

国や自治体による文化財や伝統芸能への支援はありますが、観光局が観光の財源から文化の担い手に直接資金を回すハワイのような仕組みは、日本ではまだ多くないと考えられます。

Sources & References出典・参考文献

  1. Hawaiʻi Tourism Authority, Kūkulu Ola (Living Hawaiian Culture Program) https://hta.hawaii.gov/what-we-do/destination-stewardship-programs/visitor-experiences/kukulu-ola/
  2. Hawaiʻi Tourism Authority, “Hawaiʻi Tourism Authority Awards Funding Through Its Kūkulu Ola Program” (HTA Release 26-16), July 23, 2026 https://hta.hawaii.gov/news/hawai%ca%bbi-tourism-authority-awards-funding-through-its-kukulu-ola-program/
  3. Hawaiʻi Tourism Authority, “Hawai‘i Tourism Authority Invests in Perpetuating the Hawaiian Culture Through Its Kūkulu Ola Program” (HTA Release 25-14), September 11, 2025 https://hta.hawaii.gov/news/hawaii-tourism-authority-invests-in-perpetuating-the-hawaiian-culture-through-its-kukulu-ola-program/
  4. Kilohana / Hawaiʻi Tourism Authority, “2025-2026 Hoʻokipa Malihini Initiative Request for Proposals” https://www.hawaiiancouncil.org/wp-content/uploads/2025/02/2026-HTA-RFP-HMI-FINAL.docx.pdf

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月3日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト