GEIENDO芸苑道
インバウンド成功事例Where Japan Is Upgrading

高付加価値化は
どこで進んでいるか

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約6分
高付加価値化はどこで進んでいるか——観光庁のモデル観光地14エリアと「ヤド」の位置づけ
ANSWER

観光庁は、高付加価値旅行者の地方誘客に向けて集中的な支援を行うモデル観光地を選定しています。2023年3月に11エリア、2024年9月に3エリアが加わり、現在は14エリアです。支援は「ウリ・ヤド・ヒト・コネ・アシ」の5つの観点で行われ、宿泊施設は「上質かつ地域のストーリーを感じられる宿泊施設(ヤド)」として中心に位置づけられています。

このテーマの全体像はこちら旅行者の行動を変える海外の仕組み|パラオ・アイスランド・コペンハーゲン・ハワイの事例

The 14 Areas選ばれている14エリア

選定時期エリア
2023年3月28日
(11エリア)
東北海道/八幡平/那須及び周辺地域/松本・高山/北陸/伊勢志摩及び周辺地域/奈良南部・和歌山那智勝浦/せとうち/鳥取・島根/鹿児島・阿蘇・雲仙/沖縄・奄美
2024年9月27日
(3エリア追加)
山形/佐渡・新潟/富士山麓
出典:観光庁の各発表資料[1][2]

Five Lensesウリ・ヤド・ヒト・コネ・アシ

滞在価値

ウリ

高付加価値旅行者のニーズを満たす滞在価値。その地域でしか得られない体験や物語を指します。

出典:観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」関連資料

Why Regions国が地方に集中させている理由

観光庁の資料では、高付加価値旅行者は訪日客全体の約1%(令和元年時点で32万人)にすぎないものの、消費額の約14%(6,700億円)を占めていたこと、その消費が大都市圏の買物などに偏り、地方での消費が少なかったことが、地方誘客を促す理由として挙げられています[2]。

Our Proposal芸苑道からの提案:「地域のストーリー」を音で伝える

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

「ヤド」の要件に「地域のストーリーを感じられる」という言葉が入っていることに注目しています。内装や食材だけでなく、滞在中に流れる時間そのものが、地域の物語を運ぶ手段になります。

1.その地域の芸能を、正面から扱う

各地には、その土地で受け継がれてきた音楽や舞があります。地域の行事と結びついた演目を、宿の中で正式なプログラムとして扱うことは、ストーリーを語る最も直接的な方法の一つです。

2.モデル観光地の外でも同じことができる

14エリアに入っていない地域でも、やるべきことは変わりません。国の支援は集中投下されますが、地域の文化を滞在価値に変える作業自体は、どの施設でも始められます。

3.一度きりで終わらせない

季節ごとに演目を変えることで、再訪の理由が生まれます。芸苑道は、単発の実施から年間を通じた設計までご相談を承っております。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問貴施設のある地域の芸能は何が使えるかその土地の演目と担い手をお調べいたします。
  • 問モデル観光地の外でも同じことができるか規模に合わせた形をご提案いたします。
  • 問季節ごとに内容を変える場合の設計年間の演目計画を組めます。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

Glossaryこの記事に出てくる用語

用語意味
高付加価値旅行者こうふかかちりょこうしゃ日本政府観光局(JNTO)の調査では、訪日旅行1回あたりの着地消費額(国際航空運賃を除く現地での消費額)が1人100万円以上の旅行を「高付加価値旅行」としています。
それぞれの語をクリックすると、出典つきの詳しい解説をご覧いただけます。

FAQよくある質問

モデル観光地はどこですか?

2023年3月に東北海道、八幡平、那須及び周辺地域、松本・高山、北陸、伊勢志摩及び周辺地域、奈良南部・和歌山那智勝浦、せとうち、鳥取・島根、鹿児島・阿蘇・雲仙、沖縄・奄美の11エリアが選ばれ、2024年9月に山形、佐渡・新潟、富士山麓の3エリアが加わりました。

どんな支援が行われていますか?

ウリ(滞在価値)、ヤド(宿泊施設)、ヒト(送客・ガイド)、コネ(海外ネットワーク・情報発信)、アシ(移動手段)の5つの観点で集中的な支援が行われています。

なぜ地方への誘客なのですか?

高付加価値旅行者の消費が大都市圏に偏り、地方での消費が少なかったためです。令和元年時点で訪日客の約1%が消費額の約14%を占めていました。

Sources & References出典・参考文献

  1. 観光庁「高付加価値旅行者の誘客に向けて集中的な支援等を行うモデル観光地11地域を選定しました」令和5年3月28日 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001599031.pdf
  2. 観光庁「モデル観光地3地域を追加選定しました」令和6年9月27日 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001764408.pdf
  3. 観光庁「訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/kofukakachi.html

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年9月20日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト