GEIENDO芸苑道
観光産業の歴史Hotels Built for Foreign Guests

外国人を迎えてきた
日本の宿の150年

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約6分
外国人を迎えてきた日本の宿の歴史——金谷ホテル1873年から国際観光ホテル整備法まで
ANSWER

日本で外国人客を迎えるための宿は、1873年(明治6年)の金谷カテッジイン(現在の日光金谷ホテル)に始まるとされます。1878年に富士屋ホテル、1909年に奈良ホテルが開業し、戦後の1949年には国際観光ホテル整備法が制定されて、外国人が安心して泊まれる施設の登録制度が始まりました。

このテーマの全体像はこちら日本の訪日観光の歴史|明治の喜賓会から4,000万人時代まで

The Classic Hotels外国人客のために生まれた宿

日光金谷ホテルは、1873年(明治6年)に「金谷カテッジイン」として始まり、現存する日本最古のリゾートホテルとされています[1]。1878年には箱根に富士屋ホテル、1909年には奈良ホテルが開業しました[2]。

これらの宿は、日本クラシックホテルの会に名を連ねています。同会には、日光金谷ホテル、富士屋ホテル、万平ホテル、奈良ホテル、東京ステーションホテル、ホテルニューグランド、蒲郡クラシックホテル、雲仙観光ホテル、川奈ホテルが加盟しています[2]。

いずれも、外国人旅行者を迎えることを前提に建てられ、運営されてきた宿です。日本建築と西洋式の設備をどう両立させるかが、創業期からの課題でした。

The 1949 Law1949年、国の登録制度が始まる

戦後、外客宿泊施設の整備を図るために制定されたのが国際観光ホテル整備法(昭和24年法律第279号)です。観光庁は、登録ホテル・旅館を「訪日外国人旅行者が安心して宿泊できる施設として一定のサービスレベルが保証されたホテル・旅館」と説明しています[3]。

登録には、客室数などの施設基準に加えて、外客接遇主任者の選任といった人的側面や、経営状況に関する基準が設けられています。登録施設には、自治体の判断で地方税の不均一課税が実施される場合があります[3]。

What Carries Over150年前と、いま

創業期の宿が担っていたのは、宿泊の提供だけではありませんでした。言葉の通じない土地で、外国人客が何を不安に思い、何を見たいのかを読み取り、案内する役割です。

2025年の訪日外客数は4,268万人、外国人延べ宿泊者数は1億7,992万人泊まで増えました。数は比べものになりませんが、宿に求められる役割の芯は変わっていないように見えます。

Our Proposal芸苑道からの提案:宿が「文化の入口」だった時代に学ぶ

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

クラシックホテルの歴史を見ると、宿はしばしばその土地の文化に出会う最初の場所でした。外国人客は、宿の建築、調度、料理、季節のしつらえを通じて日本を知っていきました。

1.体験は「観光地へ送り出す前」に置ける

チェックイン後の夕刻や、朝食前の時間に短い演奏や解説を置くと、お客様はその土地の文脈を持って街に出ていきます。翌日の観光の受け取り方が変わります。

2.歴史ある宿ほど、演目と結びつけやすい

創業の年代、建物の様式、地域の行事。館の物語と演目を結びつけると、その宿でしか成立しない時間になります。芸苑道では、施設の歴史を伺ったうえで演目を選んでいます。

3.新しい施設にも、土地の歴史はある

建物が新しくても、土地には歴史があります。地域の祭礼や信仰、産業と結びついた選曲は、開業間もない施設でも成立します。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問館の物語に合う演目はどれか創業の年代や建物の様式から選びます。
  • 問歴史的建造物でも演奏できるか音量や設営の条件を確認したうえでご提案いたします。
  • 問朝と夜、どちらに置くべきか館の一日の流れに合わせて決められます。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

FAQよくある質問

日本で最も古いリゾートホテルは?

1873年(明治6年)に金谷カテッジインとして始まった日光金谷ホテルが、現存する日本最古のリゾートホテルとされています。

国際観光ホテル整備法とは?

1949年(昭和24年法律第279号)に制定された法律で、外客宿泊施設の登録制度を定めています。登録ホテル・旅館は、訪日外国人旅行者が安心して宿泊できる施設として一定のサービスレベルが保証されるとされています。

日本クラシックホテルの会とは?

日光金谷ホテル、富士屋ホテル、万平ホテル、奈良ホテル、東京ステーションホテル、ホテルニューグランド、蒲郡クラシックホテル、雲仙観光ホテル、川奈ホテルが加盟する団体です。

Sources & References出典・参考文献

  1. 日光金谷ホテル歴史館「金谷ホテルの歴史」 https://nikko-kanaya-history.jp/history/
  2. 日本クラシックホテルの会(加盟ホテルと各館の沿革) https://jcha.jp/
  3. 観光庁「国際観光ホテル整備法」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kokusaikankohotel/index.html

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月7日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。施設名・団体名は各社・各団体に帰属します。芸苑道と各施設との間に提携関係はありません。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト