GEIENDO芸苑道
インバウンド成功事例Madrid's Flamenco Tablaos

毎晩の舞台を、観光の顔に。
マドリードのタブラオ

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約7分
毎晩のフラメンコを、都市の観光の顔に——マドリードの「タブラオ」、州政府と業界団体の協定(約30万ユーロ)で国際ブランド化、2024年には州の文化財(BIC)に
ANSWER

タブラオは、フラメンコを毎日上演する店です。マドリード州によると、州内のタブラオは1日に2回、3回、多い店では4回の公演を行い、公演はふつう約1時間です。1954年には、スペインで最初のタブラオとされる「サンブラ」がマドリードで開業しました。州は2022年7月20日、マドリード・タブラオ・フラメンコ協会と協定を結び、30万2,193.26ユーロを拠出して国際ブランド「Tablaos flamencos in Greater Madrid」の開発と海外への発信を支援しました。2024年1月31日には、フラメンコを州の無形文化財(BIC)に指定しています。

このテーマの全体像はこちら旅行者の行動を変える海外の仕組み|パラオ・アイスランド・コペンハーゲン・ハワイの事例

What Is a Tablaoタブラオとは?毎日フラメンコを上演する店

マドリード州の発表によると、州内のタブラオは1日に2回、3回、多い店では4回の公演を行い、公演はふつう約1時間です[1]。

同じ発表は、マドリードの新聞に「フラメンコ」という言葉が初めて登場したのが1847年6月6日であること、1954年にスペインで最初のタブラオとされる「サンブラ」がマドリードで開業したことを紹介しています。1950〜60年代からの建築や内装を残す古いタブラオとして、コラル・デ・ラ・モレリア、トーレス・ベルメハス、タブラオ1911(旧ビジャ・ロサ)、タブラオ・デ・ラ・ビジャ(旧カフェ・デ・チニータス)が挙げられています[1]。

フラメンコは、2010年11月16日にユネスコの無形文化遺産に登録されています[2]。

本記事は公開情報にもとづく海外事例の紹介です。芸苑道と各団体・店舗との提携関係はありません。

The Agreement州は何を支援した?協定でブランド、ウェブ、海外の見本市

マドリード州文化・観光・スポーツ局とマドリード・タブラオ・フラメンコ協会は、2022年7月20日に「世界のフラメンコの首都」としての観光の位置づけを高めるための協定を結びました(州官報2022年8月26日掲載)。協定の前文は、州の観光の目標として、旅行者数を増やすだけでなく、消費額が高く、州の文化に関心をもつ「質の高い旅行者」に選ばれることを挙げています[2]。

ASSOCIATION

6つの取り組み

  1. 新型コロナ後の商品と旅行者を分析する診断(競合比較、フォーカスグループなど)
  2. 国際ブランド「Tablaos flamencos in Greater Madrid」の開発と商標登録
  3. タブラオの公演情報をまとめたスペイン語・英語のウェブサイト(年間の公演予定、チケットへのリンクなど)
  4. フラメンコを紹介する2分間の動画20本(「フラメンコペディア」)
  5. SNSのアカウント開設と運用
  6. 2023年のITBベルリン、ワールド・トラベル・マーケットへの出展、紹介動画やガイドの制作

以上は、州官報に掲載された協定の内容の要約です[2]。

Cultural Protection文化としてはどう守られている?2024年に州の文化財(BIC)に

マドリード州は2024年1月31日、フラメンコを州の無形文化財(BIC:Bien de Interés Cultural)に指定しました。州は、フラメンコを少なくとも19世紀半ばからマドリードの社会に根付いてきた舞台芸術と説明し、フェスティバルやコンクール、タブラオが州の観光・文化の特色になっているとしています[1]。

これに先立つ2022年12月20日、州はタブラオ協会に「国際芸術メダル2021」を授与しました。州の発表は、2021年と2022年に、タブラオを含むフラメンコ関連の22事業に43万8,000ユーロを支援したとしています[3]。

年出来事
1954年スペインで最初のタブラオとされる「サンブラ」がマドリードで開業
2010年フラメンコがユネスコの無形文化遺産に
2022年7月州とタブラオ協会が観光ブランドの協定を締結
2022年12月州がタブラオ協会に国際芸術メダル2021を授与
2024年1月州がフラメンコを無形文化財(BIC)に指定
2026年10〜11月州のフラメンコ・フェスティバル「スマ・フラメンカ」第21回

出典:マドリード州の発表(2022年12月20日、2024年1月31日、2026年9月8日)、州官報(2022年8月26日)

Suma Flamenca 2026いま何が行われている?第21回スマ・フラメンカ(2026年10月13日〜11月1日)

マドリード州が主催するフラメンコ・フェスティバル「スマ・フラメンカ」は、2026年に第21回を迎えます。州の発表(2026年9月8日)によると、会期は10月13日から11月1日までで、州内8か所の会場で47の公演を行い、うち21は世界初演です。今回は「フラメンカス」を合言葉に、フラメンコの歴史における女性の役割をテーマにしています[4]。

毎晩のタブラオの公演と、年に一度のフェスティバルが並ぶことで、旅行者がいつ訪れてもフラメンコに出会える状態がつくられていると読むこともできます。

最後の段落は、公開情報をもとにした芸苑道の考察です。

Our Proposal芸苑道からの提案:「いつ訪れても出会える」日本の音を

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

1.特別な日の催しから、決まった日の小さな公演へ

マドリードのタブラオは、1日に複数回、約1時間の公演を続けています。貴施設でも、季節の特別な催しに加えて、曜日や時間を決めた短い演奏会を続けることで、「この宿に泊まれば伝統の音に出会える」とお客様にお伝えしやすくなると考えられます。

2.お食事と芸能を、ひとつの体験に

食事と舞台を同じ場所で楽しむ形は、海外のお客様にとって分かりやすい体験です。ご夕食の前後や、お食事の合間に演奏を添えるなど、お料理の流れに合わせた構成を芸苑道がご提案いたします(講師1名あたり¥88,000〜)。

3.地域で芸能を支える仕組みに

マドリードでは、店の団体と州が協力して、海外への発信を進めています。同じ地域の複数の施設で実演家を迎えれば、芸術家の活動の場が地域に増えることにもつながります。地域ぐるみの取り組みについても、ご相談を承っております。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問毎晩の小さな公演を、館内で続けられるか曜日や時間を決めた短い演奏会の形を、現地の条件からご提案いたします。
  • 問お食事と伝統芸能を、ひとつの体験として組み立てるにはご夕食の流れに合わせた演目と時間配分を、ご一緒に考えます。
  • 問地域の宿や店と連携して、芸能を地域の顔にできるか複数の施設で実演家を迎える形について、ご相談を承っております。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

Glossaryこの記事に出てくる用語

用語意味
無形文化遺産むけいぶんかいさん芸能、社会的慣習、儀式や祭礼、伝統工芸技術など、形のない文化を保護するためのユネスコの枠組み。「無形文化遺産の保護に関する条約」は2003年に採択され、2006年に発効しました。
それぞれの語をクリックすると、出典つきの詳しい解説をご覧いただけます。

FAQよくある質問

タブラオとは何ですか?

フラメンコを毎日上演する店です。マドリード州によると、州内のタブラオは1日に2〜4回、約1時間の公演を行っています。1954年にスペインで最初のタブラオとされる「サンブラ」がマドリードで開業しました。

マドリード州はタブラオをどう支援していますか?

2022年7月20日にマドリード・タブラオ・フラメンコ協会と協定を結び、30万2,193.26ユーロを拠出して、国際ブランド「Tablaos flamencos in Greater Madrid」の開発、スペイン語・英語のウェブサイト、海外の旅行見本市への出展などを支援しました。

フラメンコは文化財に指定されていますか?

2010年11月16日にユネスコの無形文化遺産に登録され、2024年1月31日にはマドリード州の無形文化財(BIC)に指定されました。

Sources & References出典・参考文献

  1. Comunidad de Madrid「La Comunidad de Madrid declara el flamenco Bien de Interés Cultural por su arraigo histórico en la región」2024年1月31日 https://www.comunidad.madrid/noticias/2024/01/31/comunidad-madrid-declara-flamenco-bien-interes-cultural-su-arraigo-historico-region
  2. Boletín Oficial de la Comunidad de Madrid「Convenio de 20 de julio de 2022, entre la Comunidad de Madrid y la Asociación de Tablaos Flamencos de Madrid, para el posicionamiento turístico del destino Madrid como “Capital Mundial del Flamenco”」2022年8月26日 https://www.bocm.es/boletin/CM_Orden_BOCM/2022/08/26/BOCM-20220826-22.PDF
  3. Comunidad de Madrid「La Comunidad entrega la Medalla Internacional de las Artes 2021 a la Asociación de Tablaos Flamencos de Madrid」2022年12月20日 https://www.comunidad.madrid/noticias/2022/12/20/comunidad-entrega-medalla-internacional-artes-2021-asociacion-tablaos-flamencos-madrid
  4. Comunidad de Madrid「La Comunidad de Madrid dedicará el XXI Festival Suma Flamenca al papel de la mujer en la historia del arte jondo」2026年9月8日 https://www.comunidad.madrid/noticias/2026/09/08/comunidad-madrid-dedicara-xxi-festival-suma-flamenca-papel-mujer-historia-arte-jondo

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月18日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト