GEIENDO芸苑道
海外から見た日本文化JFF Discover Kabuki: Introducing Kabuki to First-time Audiences

歌舞伎を7か国で、
初めての観客へ

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約6分
初めて歌舞伎に触れる海外の観客へ——国際交流基金「JFF Discover Kabuki」、2026年10〜11月に7か国でシネマ歌舞伎と隈取・衣裳の体験、119か国へ9言語字幕で無料配信
ANSWER

国際交流基金(JF)は、「JFF Discover Kabuki Tour & Online」として、2026年10月から11月にかけて7か国(フィリピン、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、エジプト)でシネマ歌舞伎の巡回上映とワークショップを行っています(松竹株式会社が協力)。ワークショップは隈取をモチーフにしたボディペイントと、実際の舞台で使われる衣裳の着付け体験です。あわせて、2026年8月5日から歌舞伎7作品を119か国へ9言語の字幕付きで無料配信しています。ねらいは、初めて歌舞伎に触れる海外の観客に、その魅力をわかりやすく届けることです。

このテーマの全体像はこちらユネスコ無形文化遺産に登録された日本の伝統芸能【能楽・文楽・歌舞伎・雅楽・組踊】

Overview「JFF Discover Kabuki」とは?

国際交流基金は、日本と海外の文化交流を総合的に行う独立行政法人です。2026年7月22日のプレスリリースで、シネマ歌舞伎の上映会、ワークショップ、歌舞伎映像の配信を組み合わせた事業「JFF Discover Kabuki Tour & Online」の実施を発表しました[1][2]。

項目内容
巡回上映・ワークショップ2026年10〜11月、7か国(フィリピン、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、エジプト)[1]
協力松竹株式会社[1]
ワークショップ『連獅子』にちなむ隈取ボディペイント体験、実際の舞台で使用される歌舞伎衣裳の着付け体験[1]
オンライン配信2026年8月5日から、歌舞伎7作品を119か国へ無料配信。9言語の字幕付き[1]
対象とする観客初めて歌舞伎に触れる海外の観客を含む人々[1][2]

配信の対象は、東南アジア、南西アジア、中南米、中東、アフリカなど、いわゆるグローバルサウスの地域が中心です[1]。

Countries and Titlesどの国で、何が行われるのか

タブを切り替えると、現地での上映・ワークショップと、オンライン配信の作品をご覧いただけます。

国時期(予定)上映作品ワークショップ
フィリピン2026年10月上旬/11月後半『連獅子』/『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』前編・後編隈取ボディペイント、衣裳の着付け体験(11月は上映のみ)
ペルー10月上旬『二人藤娘/日本振袖始』歌舞伎衣裳の着付け体験
チリ10月中旬『二人藤娘/日本振袖始』歌舞伎衣裳の着付け体験
アルゼンチン10月中旬『二人藤娘/日本振袖始』歌舞伎衣裳の着付け体験
ブラジル10月下旬〜11月上旬『連獅子』『身替座禅』隈取ボディペイント
メキシコ11月上旬『連獅子』隈取ボディペイント
エジプト11月中下旬『二人藤娘/日本振袖始』歌舞伎衣裳の着付け体験

出典:国際交流基金 プレスリリース No.2026-013[1]。フィリピンは日・フィリピン国交正常化70周年、アルゼンチンは日本人アルゼンチン移住140周年の記念事業として行われます。

How It Is Presented初めての観客に、どう伝えようとしているのか

発表資料から読み取れる工夫は、次の三つです[1]。

  • 体を使う体験を添える:上映だけでなく、隈取をモチーフにしたボディペイントや、実際の舞台衣裳の着付けを体験の入口にしています。『連獅子』の上映には隈取、『二人藤娘/日本振袖始』の上映には衣裳というように、観る作品と体験が結びつけられています。
  • 入口になる作品を選ぶ:配信作品の最初には『ようこそ歌舞伎座へ』が置かれ、全期間を通じて配信されます。上映作品には、宮崎駿の漫画を原作とする『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』も含まれています。
  • 現地の言葉で届ける:配信の字幕は、英語に加えてアラビア語、ポルトガル語、中南米スペイン語、タイ語、ベトナム語など9言語です。

どれも、伝統芸能を「知識がないと楽しめないもの」としてではなく、最初の一歩を踏み出しやすくするための設計と読むことができます。歌舞伎の海外公演の歴史は歌舞伎、海外への100年で紹介しています。

Our Proposal芸苑道からの提案:館内の文化体験にも、「最初の一歩」を

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

1.聴く前に、触れる

国際交流基金の事業では、上映に体験を組み合わせていました。館内での演奏でも、始まる前に楽器の音を一つ鳴らしていただく、爪や撥に触れていただくといった小さな体験があるだけで、お客様の聴き方が変わります。芸苑道では、演奏と体験を組み合わせた構成をご提案いたします。

2.入口になる演目を選ぶ

初めて伝統芸能に触れるお客様には、季節の情景が浮かぶ曲や、聞き覚えのある旋律を取り入れた曲から始めると、その後の古典の演目も受け止めていただきやすくなります。お客様の国・地域や滞在の目的を伺い、演目の順番まで含めてお選びいたします。

3.言葉の支えを用意する

9言語の字幕が用意されていたように、言葉の支えは体験の質を左右します。英語での短い解説や、演目の背景を記したカードなど、貴施設のお客様に合わせた形でご用意いたします。演目の選定・空間の設え・進行の設計まで、講師1名あたり¥88,000〜を目安にご相談を承っております。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問初めて伝統芸能に触れるお客様に、何から始めればよいか演奏の前に短い体験や解説を添える構成をご提案いたします。
  • 問言葉の壁を、どう越えるか英語の解説や、演目のあらすじをまとめた資料のご用意について、ご相談を承っております。
  • 問見るだけでなく、参加していただく形にできるか楽器に触れる、所作をまねるなど、貴施設で無理なくできる体験をお伝えいたします。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

FAQよくある質問

「JFF Discover Kabuki」とは何ですか?

国際交流基金が、シネマ歌舞伎の上映、ワークショップ、オンライン配信を組み合わせて、海外の観客に歌舞伎の魅力を届ける事業です。2026年10〜11月に7か国で上映とワークショップが行われます。

どの国で開催されますか?

フィリピン、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、エジプトの7か国です。

オンライン配信はどこで見られますか?

国際交流基金の配信サービス「JFF Theater」で、東南アジア、南西アジア、中南米、中東、アフリカの119か国に向けて、9言語の字幕付きで無料配信されています(ユーザー登録が必要)。

Sources & References出典・参考文献

  1. 国際交流基金 プレスリリース No.2026-013「7か国でシネマ歌舞伎上映・体験型ワークショップを実施決定 ~『JFF Theater』で歌舞伎の魅力を世界119か国へ無料配信~」2026年7月22日 https://www.jpf.go.jp/j/about/press/2026/dl/2026-013.pdf
  2. The Japan Foundation, Press Release No.2026-013 "Cinema Kabuki Screenings and Hands-on Workshops to Be Held in 7 Countries", July 22, 2026 https://www.jpf.go.jp/e/about/press/2026/dl/2026-013e.pdf
  3. 国際交流基金「JFF Theater」 https://www.jff.jpf.go.jp/

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月9日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト