Meiji Era通訳ガイドの制度は、いつ始まったのか
国立国会図書館の調査資料によると、外国人に付き添って案内する通訳ガイドの仕事は、1889年(明治22年)ごろには社会的に定着していたと考えられています[1]。
1893年に渋沢栄一らが発起人となって設立された日本初の外客誘致機関「喜賓会」は、綱領の一つに「善良なる案内業者を監督奨励すること」を掲げ、学力などを調べたうえで、適当と認めた人に監督証と徽章を交付していました[1]。一方で、ガイドの振る舞いが問題視されることも多く、1902年には帝国ホテル・富士屋ホテル・金谷ホテル・都ホテル・大阪ホテルが「五大ホテル同盟会」を組織して対応したことも記録されています[1]。
国の制度としては、1903年の第5回内国勧業博覧会に合わせて、内務省が「案内業者取締規則標準」を各府県に示し、免許制などを導入しました。そして1907年、内務省令「案内業者取締規則」が制定されます。通訳ガイドに関する日本初の中央省令とされ、免許を出すのは当分の間、警視総監、北海道庁長官、京都・神奈川・兵庫・長崎の各府県知事に限られました[1]。
Timeline制度はどのように変わってきたのか
タブを切り替えると、時代ごとの主な変化をご覧いただけます[1][2]。
- 1893年:喜賓会が設立され、案内業者に監督証と徽章を交付[1]。
- 1903年:第5回内国勧業博覧会に合わせ、内務省が「案内業者取締規則標準」を各府県に通牒[1]。
- 1907年:内務省令「案内業者取締規則」制定。日本初の中央省令とされる[1]。
- 1930年ごろ:警視庁と神奈川県以外では試験が行われていなかったとされる[1]。
- 1941年:通訳案内業が「旅行斡旋業」に含まれ、鉄道省の規制も受けるように[1]。
- 1947年12月31日:案内業者取締規則が失効し、通訳ガイドは一時、自由営業に[1]。
- 1949年:「通訳案内業法」制定。運輸大臣が行う試験に合格し、都道府県知事の免許を受ける制度に。5年ごとの更新制も導入[1]。
- 1983年:免許の更新制を廃止。試験の実施主体が国際観光振興会(現在の日本政府観光局)に移管[1]。
- 1992年:地域伝統芸能等を活用した行事の法律(通称「お祭り法」)で、地域伝統芸能等についての特例を創設[1]。
- 1997年:外客誘致法で、地域を限った通訳ガイドの特例を創設[1]。
- 2005年:法改正で題名が「通訳案内士法」に。免許制から登録制へ移行し、「地域限定通訳案内士」を創設[1]。
- 2018年1月4日:改正通訳案内士法が施行。資格がなくても有償で外国語による観光案内ができるように。名称は「全国通訳案内士」となり、「地域通訳案内士」制度も設けられた。全国通訳案内士は5年に1度の研修受講が必要に[2]。
- 2025年4月1日:全国通訳案内士の言語別延べ登録者数は27,950人[3]。
- 2026年度試験:筆記試験8月16日、口述試験11月29日、最終合格発表は2027年1月22日の予定[4]。
The 1949 Act1949年の通訳案内業法は、何を変えたのか
1947年末に戦前の規則が失効すると、通訳ガイドを取り締まる法令がなくなり、自由営業の状態になりました。外客の接遇の質や、ガイドの地位の不安定さが懸念されたことから、1949年に「通訳案内業法」が制定されました[1]。
同法は、目的を「通訳案内業の健全な発達を図り、外客接遇の向上に資すること」とし、国家試験と都道府県知事の免許を組み合わせた制度をつくりました。国立国会図書館の資料は、戦前の規則との違いとして、目的が「不正の取締り」から「業の発展」に変わったこと、試験の実施主体と免許の交付主体を分けたこと、更新制の導入、全都道府県での免許交付、料金認可制の廃止を挙げています[1]。
この法律は、その後50年以上、大きな改正なく続きました[1]。
Todayいま、全国通訳案内士は何人いるのか
全国通訳案内士は、国家試験に合格し、都道府県に登録した人です。日本政府観光局(JNTO)によると、2025年4月1日時点の言語別延べ登録者数は27,950人で、試験の言語は英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・中国語・イタリア語・ポルトガル語・ロシア語・韓国語・タイ語の10言語です[3]。
2025年度の最終合格者は585人で、合格率は14.7%でした。英語が500人と大半を占めます。
出典:日本政府観光局(JNTO)「2025年度 受験者数及び合格者数」をもとに作成
2026年度の試験は、8月16日に筆記試験が行われ、9月25日に筆記試験の合格者が発表されました。11月29日に口述試験、2027年1月22日に最終合格発表が予定されています[4]。
訪日観光の歴史全体は、カテゴリの完全ガイドで、外国人を迎えてきた宿の歴史は外国人を迎えてきた日本の宿の歴史で紹介しています。
Our Proposal芸苑道からの提案:「案内する人」と「奏でる人」の連携を
ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。
1.ガイドと実演家の役割を分ける
通訳ガイドは、旅の全体を案内し、文化の背景を外国語で伝える専門職です。館内で演奏をお届けする際に、ガイドの方が背景を説明し、実演家が演奏と楽器の紹介を担う形にすると、お客様にとって分かりやすい時間になると私たちは考えています。
2.ガイドが同行しない時間にも
お客様がガイドと別れて宿で過ごす夜の時間は、文化にふれていただく好機でもあります。英語の短い解説を添えた演奏であれば、館内だけで完結する体験としてご用意できます。
3.正確な由来を、短い言葉で
明治のころから、ガイドには土地の歴史や文化を正しく伝える力が求められてきました。芸能についても同じで、演目の由来を正確に、短くお伝えすることが大切です。演目の選定・空間の設え・進行の設計まで、講師1名あたり¥88,000〜を目安にご相談を承っております。
Ask Us貴施設に置き換えると
ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。
- 問通訳ガイドと連携して、館内の文化体験を案内できるかガイドの方と演奏者が役割を分けて進める形をご提案いたします。
- 問ガイドが同行しない時間に、文化をどうお伝えするか英語の解説を添えた演奏など、館内で完結する形のご相談を承っております。
- 問芸能の由来を、正確に、短く伝えるには演目ごとに要点をまとめた解説を、実演家の視点からお伝えいたします。
ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →
FAQよくある質問
通訳ガイドの国の制度はいつ始まりましたか?
1907年(明治40年)の内務省令「案内業者取締規則」が、通訳ガイドに関する日本初の中央省令とされています。
2018年の法改正で何が変わりましたか?
資格がなくても有償で外国語による観光案内ができるようになりました。資格者の名称は「全国通訳案内士」となり、「地域通訳案内士」の制度も設けられました。
全国通訳案内士は何人いますか?
2025年4月1日時点の言語別延べ登録者数は27,950人です。2025年度の試験では585人が最終合格しました。
Sources & References出典・参考文献
- 国立国会図書館 調査と情報―ISSUE BRIEF― No.890「通訳案内士制度をめぐる動向」2016年1月28日 https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_9633604_po_0890.pdf?contentNo=1
- 観光庁「通訳ガイド制度」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/tsuyaku_guide/index.html
- 日本政府観光局(JNTO)「全国通訳案内士試験概要」 https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/
- 日本政府観光局(JNTO)「2026年度全国通訳案内士試験」(2026年9月25日更新) https://www.jnto.go.jp/projects/visitor-support/interpreter-guide-exams/exam.html
- 日本政府観光局(JNTO)「2025年度 受験者数及び合格者数」 https://www.jnto.go.jp/final_guide_gokakusha_2025.pdf
本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月8日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。
