The Announcementイングランドの宿泊税とは?
英国政府(住宅・コミュニティ・地方自治省)は2026年9月10日、イングランドの市長などに「Overnight Visitor Levy」を導入する権限を与えると発表しました[1]。主な内容は次のとおりです[1]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入できる主体 | 市長(Mayors)と Foundation Strategic Authorities の首長。導入は任意 |
| 税額の決め方 | 宿泊料金に対する割合(定率)。定額にはしない |
| 使い道 | 住民・地元事業者と協議のうえ、地域が決める |
| 納める人 | ホテルなどの宿泊事業者が、地域の当局に納める |
| 対象外 | 一時的な住まいとしての宿泊施設、シェルター、避難施設。キャンプ場などの免除は地域が判断できる |
| 今後の予定 | 法案を提出予定。2028年初めまでに各地域が支出計画を示す見込み |
政府は、定率にする理由を「家族の低価格の休暇を守るため」と説明しています。この発表は、2025年11月26日から2026年2月18日まで行われた意見募集を経たものです[1]。発表では、同様の課税がドイツ、米国、イタリア、オランダ、カナダの多くの都市で行われていることにも触れています[1]。
Three Models in the UKスコットランド・ウェールズとはどう違うか?
英国では、地域ごとに宿泊税の仕組みが異なります。
宿泊料金に対する定率。税率は市長などが決めます。2026年9月に政府が導入権限を与える方針を発表し、今後、法案が提出される予定です[1]。
1人1泊あたりの定額。ホステル・キャンプ場は75ペンス、その他の宿泊施設は1.30ポンドです。共用型の宿泊施設に泊まる18歳未満は対象外です。導入するかどうかは各自治体が地域と協議して決め、税はウェールズ歳入庁(WRA)が徴収・管理します。法律は2025年9月18日に成立し、導入できるのは早くても2027年とされています[2]。首都カーディフは2027年4月の導入を予定しています[3]。
宿泊料金の5%(連続5泊まで)。税収の一部を文化・遺産・イベントに充てる配分を定めています。詳しくは宿泊税の35%を文化・遺産へ——英国初「ビジター・レビー」の仕組みで紹介しています。
イングランドが定率を選んだのに対し、ウェールズは定額を法律で定めています。日本でも、京都市のような定額の段階制と、北海道倶知安町のような定率制が併存しています(宿泊税はどこで、いくらかかるのか【2026年】)。
For Culture文化・芸術の関係者はどう受け止めたか?
政府の発表には、各地の市長や文化機関の代表のコメントが添えられています[1]。
- リバプール市域の市長は、地域の観光経済が年68億ポンド超・5万5,000人超の雇用を支えているとし、控えめな宿泊税でも年最大1,800万ポンドを生み、催しや文化、体験、インフラに再投資できる可能性があると述べています。
- ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)の館長は、宿泊税が博物館・美術館・観光施設を支える大きな機会になるとして歓迎しています。
- ウェスト・ヨークシャーの市長は、訪問者の小さな負担によって文化への投資を続けられると述べています。
英国政府観光庁(VisitBritain)の調べでは、2024年の英国への訪問は4,260万回、支出は325億ポンド、宿泊数は2億9,300万泊でした(政府発表による)[1]。税収の使い道は地域が決めるため、文化・芸術にどれだけ充てられるかは、今後の各地の計画次第です。
Our Proposal芸苑道からの提案:宿泊の対価として、文化をお返しする
ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。
1.「税の先にあるもの」をお客様に
英国では、宿泊税を地域の文化や催しに再投資する考え方が広がっています。日本でも宿泊税を導入する自治体が増えるなかで、お客様が支払う宿泊の対価が、地域の文化を支えていることを伝える工夫には意味があると私たちは考えています。
2.地域の文化事業と、館内の催しをつなぐ
自治体が宿泊税を文化事業に充てる場合、宿泊施設は会場や受け入れの場として関わることができます。芸苑道では、地域の催しと連動した館内での演奏会など、貴施設の立地に合わせた企画をご提案いたします。
3.価格に見合う滞在の質を
税を含めた宿泊料金が上がる場面では、滞在の満足度がいっそう問われます。演目の選定・空間の設え・進行の設計まで承り、講師1名あたり¥88,000〜を目安にご相談を承っております。
Ask Us貴施設に置き換えると
ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。
- 問日本の宿泊税と比べて、何が参考になるか使い道を文化に向ける海外の考え方を、催しの企画の視点からお伝えいたします。
- 問税の使い道として、地域の文化行事にどう関われるか地域の催しと館内の体験をつなぐ構成について、ご相談を承っております。
- 問宿泊料金が上がるなかで、お客様に何をお返しできるか滞在の価値を高める文化体験を、貴施設の条件に合わせてご提案いたします。
ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →
FAQよくある質問
イングランドの宿泊税はいつから始まりますか?
2026年9月時点では開始日は決まっていません。政府は今後法案を提出し、各地域が2028年初めまでに支出計画を示すことを見込んでいます。
税額はどう決まりますか?
宿泊料金に対する割合(定率)で、税率は導入する地域の市長などが決めます。定額にしないのは、低価格の旅行の負担が重くならないようにするためと説明されています。
ウェールズの宿泊税はいくらですか?
1人1泊あたり、ホステル・キャンプ場は75ペンス、その他の宿泊施設は1.30ポンドです。導入するかどうかは各自治体が決めます。
Sources & References出典・参考文献
- GOV.UK (Ministry of Housing, Communities and Local Government), Local leaders handed powers to drive investment in communities, 10 September 2026 https://www.gov.uk/government/news/local-leaders-handed-powers-to-drive-investment-in-communities
- Welsh Government, Visitor levy to support tourism becomes law, 18 September 2025 https://media.service.gov.wales/news/visitor-levy-to-support-tourism-becomes-law
- Cardiff Council, Cardiff Council and UKHospitality Cymru Sign Memorandum of Understanding for the Visitor Levy, 26 August 2026 https://www.cardiffnewsroom.co.uk/releases/c25/37721.html
本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月2日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。本記事は海外の制度を紹介するもので、法的・税務上の助言ではありません。芸苑道と記事中の団体との提携関係はありません。
