Founding in 1966国立劇場は、なぜつくられたのか
国立劇場を運営する日本芸術文化振興会の前身、特殊法人国立劇場は、伝統芸能の保存及び振興を図ることを目的として、1966年7月に国立劇場法にもとづいて設立されました[1]。その拠点として同じ年の11月1日に開場したのが国立劇場で、歌舞伎、文楽をはじめ、舞踊、邦楽、民俗芸能、声明、雅楽などを上演してきました[1]。
その後、1990年の法改正で文化芸術活動への助成業務が加わり、法人の名称は日本芸術文化振興会に改められました。2003年10月には独立行政法人に移行しています[1]。
Six National Theatres国立劇場は、どのように広がってきたのか
1966年の国立劇場に続いて、芸能のジャンルごとに専門の劇場が開場してきました。タブを切り替えると、各劇場の開場年と役割をご覧いただけます[1]。
1966年(昭和41年)11月1日開場(東京都千代田区隼町)
歌舞伎、文楽をはじめ、舞踊、邦楽、民俗芸能、声明、雅楽などを上演する劇場として開場しました。同じ年の6月に国立劇場法が公布され、7月に特殊法人国立劇場が設立されています[1]。初代の建物は2023年10月31日に閉場しました[1]。
1979年(昭和54年)3月22日開場(東京都千代田区隼町)
落語、講談などの大衆芸能のための国立演芸資料館(国立演芸場)として開場しました。国立劇場と同じ敷地にあり、初代の建物は2023年10月31日に閉場しました[1]。
1983年(昭和58年)9月15日開場(東京都渋谷区千駄ヶ谷)
能楽(能、狂言)を上演する劇場です[1]。
1984年(昭和59年)3月20日開場(大阪市中央区日本橋)
文楽を中心に、広く上方の芸能を上演する劇場です[1]。
1997年(平成9年)10月10日開場(東京都渋谷区本町)
1989年の法改正で現代舞台芸術に関する業務が加わり、オペラ、バレエ・現代舞踊、演劇などの現代舞台芸術を上演する劇場として開場しました[1]。
2004年(平成16年)1月18日開場(沖縄県浦添市)
組踊など沖縄の伝統芸能を上演する劇場です[1]。組踊は2010年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
Redevelopment建て替えは、なぜ遅れているのか
初代の国立劇場と国立演芸場は、2023年10月31日に閉場しました[1]。建て替えは、民間の資金とノウハウを使うPFI方式で計画されましたが、文化庁の資料によると、過去2回の入札は成立しませんでした[2]。
これを受けて、2024年12月の計画改定では、それまで必須だったホテルの併設などの条件を自由な提案に改め、参入しやすくしました。さらに2025年9月の改定で、2033年度(令和15年度)の再開場をめざすスケジュールが示されました[2]。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023年10月31日 | 初代国立劇場・国立演芸場が閉場[1] |
| 2024年12月 | 整備計画を改定(ホテル併設などを自由提案に)[2] |
| 2025年9月24日 | 整備計画を改定(2033年度の再開場をめざす)[2] |
| 2026年3月31日 | 3回目の入札公告[4][5] |
| 2026年9月30日 | 第一次審査資料の提出期限[5] |
| 2027年6月29日 | 開札(予定)[5] |
| 2027年12月頃 | 事業契約の締結(予定)[5] |
| 2033年度 | 再開場(目標)[2] |
入札公告によると、施設整備の期間は契約の翌月から最大8年3か月で、事業者は設計・建設に加えて、引き渡しから20年間の維持管理も担います[5]。
A Cultural Tourism Hub新しい国立劇場は、観光とどう関わるのか
文化庁の整備計画(2025年9月改定)は、再整備の基本的な考え方として、①伝統芸能の伝承と創造に係る機能強化、②文化観光拠点としての機能強化、③周辺地域との調和を掲げています[2]。新しい劇場は、伝統芸能の中核的な拠点として、国内外の人々の交流を生み出す文化観光拠点となるように整備するとしています[2]。
具体的には、次のような機能が挙げられています[2]。
- 観劇を目的としない人も利用できるグランドロビーと、レストラン・カフェ・ショップ
- 体験型の展示施設の拡充と、舞台裏を見学できるツアー動線
- 伝統芸能と食文化などを組み合わせて体験できるイベントスペース
- 障害のある方、高齢の方、子ども連れ、外国人など、すべての来場者が安全で快適に利用できるユニバーサルデザイン
日本の伝統芸能がユネスコ無形文化遺産にどう登録されてきたかは、海外から見た日本文化の完全ガイドで紹介しています。
Our Proposal芸苑道からの提案:劇場の外で、伝統芸能に出会う場を
ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。
1.再開場までの間にも、鑑賞の機会を
国立劇場の再開場は2033年度の目標で、まだ時間があります。その間、東京を訪れる海外のお客様が伝統芸能に触れる場は限られます。貴施設の中で、短い時間でも本物の演奏に触れていただくことには意味があると、私たちは考えています。
2.「芸能と食」を、宿の夜に
新しい国立劇場の計画には、伝統芸能と食文化を組み合わせた体験が挙げられています。宿泊施設は、この組み合わせをもっとも自然にご用意できる場所の一つです。季節の料理に合わせた演目を、夕食の前後にお届けする進行をご提案いたします。
3.舞台裏まで、近くで
舞台裏の見学ツアーが計画されているように、芸能の「裏側」への関心は高まっています。宿での鑑賞なら、演奏のあとに楽器や装束を間近でご覧いただき、実演家と言葉を交わす時間も設けられます。演目の選定・空間の設え・進行の設計まで、講師1名あたり¥88,000〜を目安にご相談を承っております。
Ask Us貴施設に置き換えると
ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。
- 問国立劇場の閉場中、海外のお客様に伝統芸能をどうご案内するか貴施設の館内でお楽しみいただける鑑賞の形をご提案いたします。
- 問歌舞伎・文楽・能楽・邦楽、どの芸能が貴施設に合うか空間の広さとお客様の層から、実現できる演目を率直にお伝えいたします。
- 問劇場で見るのとは違う、宿ならではの鑑賞とは実演家との距離の近さを生かした進行について、ご相談を承っております。
ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →
Glossaryこの記事に出てくる用語
FAQよくある質問
国立劇場はいつ開場しましたか?
1966年(昭和41年)11月1日に、東京都千代田区隼町で開場しました。2026年11月で開場60年です。
国立劇場の建物は今どうなっていますか?
初代の建物は2023年10月31日に閉場しました。建て替えは2033年度の再開場をめざしており、2026年3月に3回目の入札公告が行われました。
新しい国立劇場には、どんな機能が予定されていますか?
文化庁の整備計画では、文化観光拠点としての機能強化を掲げ、グランドロビー、舞台裏の見学ツアー動線、伝統芸能と食文化を組み合わせて体験できるイベントスペースなどを挙げています。
Sources & References出典・参考文献
- 独立行政法人日本芸術文化振興会「沿革」 https://www.ntj.jac.go.jp/about/introduction/
- 文化庁「国立劇場の再整備に係る整備計画(概要)」2025年9月一部改定 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/kokuritsugekijo_saiseibi/pdf/94278001_02.pdf
- 文化庁「国立劇場の再整備に関するプロジェクトチーム」(整備計画の改定経緯) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/kokuritsugekijo_saiseibi/
- 独立行政法人日本芸術文化振興会「国立劇場再整備等事業 入札公告及び入札説明書等の公表について」2026年3月31日 https://www.ntj.jac.go.jp/about/procurement/redevelopment/8215/
- 独立行政法人日本芸術文化振興会「入札公告(国立劇場再整備等事業)」2026年3月31日 https://www.ntj.jac.go.jp/assets/files/04_about/procurement/redevelopment/2025/20260331/nyuusatsukoukoku_20260331.pdf
本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月3日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。
