GEIENDO芸苑道
インバウンド市場動向JNTO Survey of Travelers in 22 Markets

海外の旅行者の約3割が、
伝統芸能を見たい

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約7分
海外の旅行者の約3割が、訪日旅行で「地域に根付く伝統芸能を鑑賞したい」——JNTOが世界22市場で調べた国外旅行者調査、日本は18市場で「次に行きたい旅行先」1位
ANSWER

日本政府観光局(JNTO)が2026年4月28日に公表した、世界22市場の国外旅行者を対象とした調査(調査期間は2024年10〜12月)によると、日本は22市場のうち18市場で「今後行きたい・次に行きたい旅行先」の選択率1位でした。訪日旅行で体験したい価値として「地域に根付く伝統芸能を鑑賞する」を選んだ人は、東アジア地域27.8%、東南アジア地域36.5%、欧米豪・インド・中東地域31.8%でした。欧米豪・インド・中東地域では、日本の地方部で体験できると思うこととして「その地の歴史や文化を深く知る」(37.0%)が最も多く選ばれています。

このテーマの全体像はこちら訪日インバウンド市場の全体像【2025年確報データで読む】

The Surveyどんな調査?世界22市場の、海外旅行の経験者を対象

JNTOは2026年4月28日、世界22市場の国外旅行者を対象とした調査の結果を公表しました。同日に公表された新しい訪日マーケティング戦略で、市場別の戦略を立てるために使われた調査です[1]。

項目内容
対象市場韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域(4か国)、中東地域(8か国)
対象者20歳以上で、2020年4月〜調査時点に飛行機でレジャー目的の国外旅行をした人(欧米豪・インド・中東地域は中長距離の旅行)。各市場の世帯可処分所得の下位10%は除く(北欧・湾岸6か国を除く)
調査期間2024年10〜12月
サンプル数中国・米国2,400、湾岸6か国1,000、トルコ・イスラエル450、その他の市場1,200

調査資料は、回答者の3分の1程度以上を訪日経験者が占めるように集めているため、「行きたい旅行先」などの結果は、各市場の実際の訪日経験者の割合と一致するものではないと注意を促しています[2]。

Preferred Destination日本は何市場で1位?22市場のうち18市場

調査では、日本に関する質問の前に、今後行きたい旅行先(最大3つ)と次に行きたい旅行先(1つ)をたずねています。日本は22市場のうち18市場で選択率1位となり、残る4市場でも次に行きたい旅行先として5位以内に入りました[1]。

  • 台湾:今後行きたい60.4%、次に行きたい45.8%(2位の韓国は24.9%、6.4%)
  • タイ:今後行きたい66.5%、次に行きたい52.2%
  • 韓国:今後行きたい28.0%で1位だが、2位の米国(26.1%)との差は小さい
  • 欧州:全市場で上位3位以内。フランス、イタリア、スペインでは1位

以上の数字は、調査資料の市場別の集計によるものです[2]。

Values to Experience訪日旅行で何を体験したい?伝統芸能の鑑賞は約3割

訪日旅行で体験したい価値(複数回答・地域別)
  • 自然風土に根ざした食文化46.7%
  • 受け継がれる祭りに触れる35.1%
  • 伝統的地域・文化財に泊まる34.7%
  • 古来から続く温泉・湯治34.1%
  • 地域に根付く伝統芸能を鑑賞する31.8%
  • 匠の技に触れる31.8%

欧米豪・インド・中東地域では、食文化が約5割で、その他の項目は3〜4割程度と差が小さい結果です。

出典:JNTO「VJ重点市場基礎調査(2024年) 調査結果概要」(2026年4月28日公表)。項目名は一部を短くしています

この設問は、訪日旅行で体験したい自然や文化の価値を複数回答でたずねたものです。地域別の値は、各市場の選択率を国外旅行実施者数で加重平均したものです[2]。

なお、国外旅行一般の主な目的(22市場平均)では、「テーマパーク」36.4%、「ガストロノミー・美食」34.8%、「アート鑑賞」34.6%が上位で、「演劇やミュージカル、オペラ・バレエ」は15.1%、「コンサート、音楽ライブ」は19.7%でした[2]。

Expectations for Regional Japan日本の地方部では何ができると思われている?地域によって違う期待

WEST, INDIA & MIDDLE EAST

歴史や文化を深く知る

  • その地の歴史や文化を深く知る:37.0%
  • その地の人との交流を楽しむ:35.3%
  • ディープな日本(地域に根付く生活様式)を味わう:35.2%
  • その地ならではの体験を友人や知人に自慢できる:34.2%

「地方部で体験できると思うこと」は、東京・大阪・京都以外の地方部だからこそ体験できると思うことを最大5つまでたずねたものです[2]。調査資料は、訪日回数を重ねるなかで、滞在先が都市部から地方部にも広がっていくと考えられるとしています[2]。

Our Proposal芸苑道からの提案:市場ごとの関心に合わせた、伝統の音のひととき

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

1.欧米のお客様には、背景を知る時間を

欧米豪・インド・中東地域のお客様は、地方部に「その地の歴史や文化を深く知る」ことを期待する傾向がありました。演奏だけでなく、楽器の由来や曲の背景を実演家が直接お話しする構成は、こうした期待にお応えする方法のひとつです。

2.アジアのお客様には、温泉や食と重ねて

東アジア・東南アジア地域では、温泉・湯治や食文化への関心が高い結果でした。湯上がりのラウンジや、ご夕食の前のひとときに演奏を添えるなど、すでにお楽しみいただいている時間に文化体験を重ねる形をご提案いたします(講師1名あたり¥88,000〜)。

3.「その地ならでは」の演目を選ぶ

どの地域でも、その土地ならではの体験への関心がうかがえます。地域に伝わる曲や、季節にちなんだ曲を選ぶことで、貴施設でお過ごしいただく理由のひとつになりえます。演目の選定から、ご相談を承っております。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問貴施設に多いお客様の国・地域に、どんな伝統芸能が合うか市場ごとの関心の違いを踏まえ、演目と解説の形をご提案いたします。
  • 問地方の宿で「その地の歴史や文化を深く知る」時間をどう用意するか土地にゆかりのある曲や物語を取り入れた構成を、ご一緒に考えます。
  • 問食事や温泉の時間と、演奏をどう組み合わせるかお食事の前後や湯上がりの時間に合わせた進行について、ご相談を承っております。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

FAQよくある質問

JNTOの世界22市場調査で、日本は何市場で1位でしたか?

22市場のうち18市場で「今後行きたい・次に行きたい旅行先」の選択率1位でした。残る4市場でも、次に行きたい旅行先として5位以内に入っています。

訪日旅行で伝統芸能を鑑賞したい人はどのくらいいますか?

訪日旅行で体験したい価値として「地域に根付く伝統芸能を鑑賞する」を選んだ人は、東アジア地域27.8%、東南アジア地域36.5%、欧米豪・インド・中東地域31.8%でした(複数回答)。

この調査はいつ行われましたか?

調査期間は2024年10〜12月で、結果は2026年4月28日に公表されました。対象は、2020年4月以降に飛行機でレジャー目的の国外旅行をした20歳以上の人です。

Sources & References出典・参考文献

  1. 日本政府観光局(JNTO)「世界22市場の国外旅行者を対象としたアンケート調査の結果を公表!」2026年4月28日 https://www.jnto.go.jp/news/press/20260428_3.html
  2. 日本政府観光局(JNTO)「VJ重点市場基礎調査(2024年) 調査結果概要」(報道発表資料 別紙)2026年4月28日 https://www.jnto.go.jp/news/_files/20260428_1400.pdf

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月18日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト