GEIENDO芸苑道
インバウンド市場動向Japan's Travel Balance, August 2026

訪日客は減っても、
旅行の受取は3.4%増

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約6分
訪日客9.6%減でも、旅行の受取は3.4%増——2026年8月の国際収支を読む、旅行収支は3,999億円の黒字
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財務省・日本銀行が2026年10月8日に公表した国際収支(速報)によると、2026年8月の「旅行」の受取は7,254億円で、前年同月(7,016億円)より約3.4%増えました。支払(3,254億円)を差し引いた旅行収支は3,999億円の黒字で、前年同月(3,624億円)より約10.3%増えています。一方、同じ月の訪日外国人旅行者数は309万8,900人で、前年同月比9.6%減でした。お客様の数が減っても、日本国内で使われたお金は前年を上回ったことになります。

このテーマの全体像はこちら訪日インバウンド市場の全体像【2025年確報データで読む】

August at a Glance2026年8月の旅行収支は?受取7,254億円、黒字3,999億円

国際収支の「旅行」は、訪日外国人旅行者などが日本に滞在中に使ったお金(受取)と、日本人などが海外で使ったお金(支払)を記録する項目です。2026年8月の速報値は次のとおりです[1][2]。

項目2026年8月前年同月
受取7,254億円7,016億円
支払3,254億円3,392億円
旅行収支3,999億円の黒字3,624億円の黒字

同じ資料に参考として載っている訪日外国人旅行者数(JNTO推計値)は、8月が309万8,900人(前年同月比9.6%減)、出国日本人数は158万8,600人(同3.6%減)でした[1][4]。支払が前年より少なかったことも、黒字が増えた理由の一つです。

四捨五入のため、受取から支払を引いた値と収支の値が一致しない場合があります。

Monthly Credits2026年の受取は、4〜6月が前年を下回り、7〜8月は上回った

「旅行」の受取(2026年1〜8月・単位:億円)
  • 1月8,195億円
  • 2月7,929億円
  • 3月8,082億円
  • 4月7,672億円
  • 5月7,649億円
  • 6月6,804億円
  • 7月8,115億円
  • 8月7,254億円

各月の速報公表時点の値です。4〜6月は前年同月を下回り、7月・8月は上回りました。

出典:財務省・日本銀行「国際収支状況(速報)」2026年1月分〜8月分の付表1

2026年の受取を各月の速報で見ると、4月は7,672億円(前年同月9,350億円)、5月は7,649億円(同8,620億円)、6月は6,804億円(同7,813億円)と、3か月続けて前年を下回りました。7月は8,115億円(同7,215億円)、8月は7,254億円(同7,016億円)で、前年を上回っています[2][3]。

速報値は、後の公表で改定されることがあります。ここでは、各月の速報公表時点の値を並べています。

Why the Gap訪日客が減っても受取が増えたのはなぜ?

8月は、訪日外国人旅行者数が前年同月比9.6%減だった一方で、受取は約3.4%増えました。国際収支の資料は理由を説明していませんが、同じ資料には、8月のドル・円相場(月中平均)が1ドル158.74円で、前年同月(147.67円)と比べて7.5%の円安だったことが参考として載っています[1]。

円安のときは、海外のお客様が自国の通貨で同じ金額を使っても、円に換算した金額は大きくなります。また、受取には旅行者だけでなく、留学生などの滞在中の支出も含まれます。そのため、受取を訪日客数で割って「1人あたりの支出」とみなすことはできません。1人あたりの消費額は、観光庁の「インバウンド消費動向調査」で確認するのが適切です。

2025 in Context2025年の旅行収支は6兆3,429億円の黒字

参考として、2026年2月に公表された2025年の年間値(速報)では、旅行の受取は9兆2,847億円、支払は2兆9,418億円、旅行収支は6兆3,429億円の黒字でした。2024年(同じ資料の前年値)は、受取8兆2,757億円、旅行収支6兆1,172億円の黒字です[5]。

月平均にすると、2025年の受取はおよそ7,700億円です。2026年8月の7,254億円は、前年同月は上回ったものの、2025年の月平均よりはやや少ない水準です。

Our Proposal芸苑道からの提案:お客様の数より、お一人の滞在の中身を

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

1.客数が揺れる年こそ、滞在の質で選ばれる

2026年は、訪日外国人旅行者数が前年を下回る月が続いています。一方で、日本国内で使われるお金は、月によっては前年を上回っています。お客様の数そのものより、お一人お一人がどのような時間を過ごされるかに目を向ける時期と考えられます。

2.円安のいまは、体験に費用をかけていただきやすい

円安の局面では、海外のお客様にとって日本での体験が相対的に手の届きやすいものになります。伝統芸能の演奏を宿泊と組み合わせ、滞在の記憶に残る一夜としてお届けする方法があります。芸苑道では、演目の選定から空間の設え、当日の進行まで承っております(講師1名あたり¥88,000〜)。

3.前年を下回った月に、企画を置く

2026年は4〜6月の受取が前年を下回りました。来年の同じ時期に向けて、早めに体験企画を準備しておくことも一つの考え方です。開催時期や頻度のご相談も承っております。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問お客様の数が減る月に、何で単価を支えるか宿泊に組み合わせる体験の考え方を、貴施設の客層に合わせてご提案いたします。
  • 問円安が続くなかで、海外のお客様に響く価格の付け方とは体験の内容と所要時間から、無理のない価格の目安をお伝えいたします。
  • 問前年を下回った月の落ち込みを、どう取り戻すか閑散期の平日に置く企画を、現地の条件からご一緒に考えます。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

FAQよくある質問

2026年8月の旅行収支はいくらでしたか?

3,999億円の黒字です(速報)。受取は7,254億円、支払は3,254億円でした。前年同月は3,624億円の黒字でした。

旅行収支の「受取」とは何ですか?

訪日外国人旅行者などが日本に滞在中に使ったお金です。留学生などの支出も含まれるため、訪日客の消費額とは一致しません。

訪日客が減ったのに、受取が増えたのはなぜですか?

資料は理由を示していませんが、同じ資料では8月が前年同月比7.5%の円安だったことが参考として示されています。円安は、円に換算した金額を大きくする方向に働きます。

Sources & References出典・参考文献

  1. 財務省「令和8年8月中 国際収支状況(速報)の概要」2026年10月8日 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg202608.htm
  2. 財務省・日本銀行「令和8年8月中 国際収支状況(速報)」付表1(サービス収支)2026年10月8日 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/bp202608.pdf
  3. 財務省・日本銀行「令和8年7月中 国際収支状況(速報)」付表1(1〜6月分も各月の速報の付表1を参照) https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/bp202607.pdf
  4. 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」2026年9月16日 https://www.jnto.go.jp/news/press/20260916_monthly.html
  5. 財務省・日本銀行「令和7年中 国際収支状況(速報)」 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/bpcy2025.pdf

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月12日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト