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政策・制度ニュースJapan Heritage: The 2026 Review Results

日本遺産、
認定後の審査はどう行われたか

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約7分
日本遺産、2026年度の審査結果——2020年度認定のうち重点支援4件、京都の花街文化は「候補地域継続」
ANSWER

文化庁は2026年9月1日、2020年度(令和2年度)に認定された日本遺産の総括評価・継続審査の結果を発表しました。「重点支援地域」4件、「認定継続」10件、「再審査」6件で、熊本県八代市のストーリー1件は令和8年熊本地震の影響により審査が延期されています。あわせて、候補地域のうち千葉県の「鋸山」が点数評価プロセスへ進み、京都市の「受け継がれゆく京の花街の文化」は「候補地域継続」となりました。新たな候補地域の申請1件は不認定で、本年度の新規認定はありません。

このテーマの全体像はこちら第5次観光立国推進基本計画とは?2030年目標と文化観光に関わる施策

What Is Japan Heritage日本遺産とは?——2015年度から104件が認定

日本遺産(Japan Heritage)は、地域の歴史的な魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語る「ストーリー」を文化庁が認定する制度です。2015年度(平成27年度)から2020年度(令和2年度)までの6年間で104件が認定され、新規認定の募集は2020年度をもって当面最後とされました[4]。

その後は、認定地域の取組を毎年審査する「総括評価・継続審査」によって、日本遺産全体の質の底上げとブランドの維持・強化が図られています[3]。地域活性化計画の期間が終わった地域は、目標の達成状況と取組内容を評価され、次のいずれかに区分されます[3]。

  • 重点支援地域:補助率の嵩上げなどの重点的な支援。2回連続で重点支援の対象となった場合、「特別重点支援地域」として日本遺産の「モデル」にできるとされています。
  • 認定継続:引き続き日本遺産として取組を続けます。
  • 再審査:秋から冬にかけて現地調査などを行い、改めて審査します。

また、候補地域を点数で評価して上位の地域を日本遺産とする「点数評価プロセス」が、2024年度(令和6年度)から導入されています[1]。

The 2026 Results2020年度に認定された地域は、どう評価されたか?

今回の対象は、2020年度に認定された地域です。結果は次のとおりです[1][2]。

  • 山梨県 甲府市・甲斐市「甲州の匠の源流・御嶽昇仙峡」
  • 静岡県 藤枝市・静岡市「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」
  • 京都府・滋賀県 京都市・大津市「京都と大津を繋ぐ希望の水路 琵琶湖疏水」
  • 島根県 益田市「中世日本の傑作 益田を味わう」

重点支援・認定継続・再審査・延期を合わせると21件で、2020年度に新たに認定された21件[4]と一致します。重点支援地域には、東海道の旅(弥次さん喜多さん)や琵琶湖疏水のように、「旅」や「歩いて触れる」体験を軸にしたストーリーが含まれています[2]。

Kyoto's Kagai京都の花街文化は、なぜ「候補地域継続」だったのか?

候補地域として審査を受けた京都市の「受け継がれゆく京の花街の文化」は、「候補地域継続」となりました[5]。審査結果では、花街文化そのものの価値は認めつつ、次のような点が指摘されています[5]。

  • 花街文化の性質が「クローズ」であるのに対し、日本遺産は広く一般の観光客に発信・提供していくことが本質であること
  • 花街文化を、観光誘客や地域活性化にどう結びつけていくのかが不明確であること
  • 京都中心部のオーバーツーリズムの課題があるなかで、認定を受けてどう地域活性化を図るかの具体化が求められること
  • 連携する関係者が花街のごく一部に限られているように見受けられ、より幅広い関係者との連携が求められること

伝統芸能の世界では、限られた場での「一見さんお断り」のような継承の仕組みが、文化の質を守ってきた面もあります。今回の評価は、そうした文化を観光にどう開くかという、実演の現場にも通じる問いを示しているといえます。

なお、文化庁は審査で提出を求める地域活性化計画について、要点の合理化や分量の簡素化を目的に、来年度提出分から様式を改定する予定としています[1]。

Our Proposal芸苑道からの提案:地域の物語を、館内の体験に

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

1.地域のストーリーを、お客様の言葉で

日本遺産のストーリーは、地域の歴史を一つの物語として伝える試みです。貴施設の地域にストーリーがある場合、その内容に沿った演目(たとえば街道の旅、水の物語、信仰の山)を選ぶことで、館内の催しが地域全体の体験とつながります。

2.「開く」と「守る」の間にある形

花街文化の評価に見られるように、伝統文化を広く公開することには難しさもあります。芸苑道では、少人数のお客様に向けた座敷形式の鑑賞や、解説を添えた短い演奏など、文化の品位を保ちながらお届けする形をご提案いたします。

3.地域の担い手とともに

日本遺産の審査では、幅広い関係者との連携が繰り返し求められています。宿泊施設が地域の実演家や文化団体と協力して催しを続けることは、その一つの形です。芸苑道は演目の選定・空間の設え・進行の設計までを承っております(講師1名あたり¥88,000〜が目安です)。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問貴施設の地域に、日本遺産のストーリーはあるか地域のストーリーと伝統芸能を結びつけた企画の考え方をお伝えいたします。
  • 問地域の文化資源を、お客様にどう伝えればよいか演目の背景や土地の物語を、短い解説とともにお届けする構成をご提案いたします。
  • 問観光客に開くことと、文化を守ることの両立は実演家の立場から、無理のない公開の形について率直にご相談を承っております。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

Glossaryこの記事に出てくる用語

用語意味
オーバーツーリズムおーばーつーりずむ国連世界観光機関(UNWTO、現UN Tourism)は、観光が目的地やその一部に与える影響で、住民が感じる生活の質や、旅行者の体験の質を過度に悪化させる状態と定義しています(2018年の報告書)。
それぞれの語をクリックすると、出典つきの詳しい解説をご覧いただけます。

FAQよくある質問

日本遺産は今も新しく認定されていますか?

2015年度から2020年度までに104件が認定され、新規認定の募集は2020年度で当面最後とされました。現在は候補地域の審査と、認定地域の総括評価・継続審査が行われています。2026年度は新規認定はありませんでした。

2026年度の総括評価・継続審査の結果は?

2020年度に認定された地域のうち、重点支援地域4件、認定継続10件、再審査6件で、1件は熊本地震の影響で審査が延期されました。

京都の花街文化は日本遺産に認定されましたか?

2026年9月時点では認定されておらず、「候補地域継続」となっています。観光誘客や地域活性化への結びつけ方が不明確であることなどが指摘されました。

Sources & References出典・参考文献

  1. 文化庁「令和8年度日本遺産総括評価・継続審査の結果及び候補地域の審査結果について」2026年9月1日 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94429001.html
  2. 文化庁「別紙2-1 令和2年度認定 日本遺産総括評価・継続審査結果一覧」2026年9月1日 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94429001_03.pdf
  3. 文化庁「別紙1 日本遺産の認定審査・継続審査の流れ(概略)」2026年9月1日 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94429001_02.pdf
  4. 文化庁「令和2年度『日本遺産(Japan Heritage)』の認定結果の発表について」2020年6月19日 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/92323501_01.pdf
  5. 文化庁「別紙3-2 候補地域 審査結果」2026年9月1日 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94429001_06.pdf

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月2日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。本記事は制度の概要を紹介するもので、法的な助言ではありません。認定・審査の詳細は文化庁の公表資料をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト