Overview「地域一体となった観光産業の効率化支援事業」とは?
観光庁は、この事業の背景として、インバウンドをはじめとする観光需要の急速な回復に伴い、宿泊業で人手不足が一層顕在化していることを挙げています。そのうえで、宿泊事業者が連携・協働し、地域一体で労働生産性の向上につながる設備投資や改修を進めることが重要だとしています[3]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 複数の宿泊施設等が利用する共同設備の導入・改修等を支援し、観光地全体のサービス水準や労働生産性の向上を図る[3][6] |
| 補助対象者 | 観光関係事業者(宿泊、飲食、交通、観光施設、観光協会、DMO等)。実施主体か連携先に、宿泊事業者を1者以上含めることが必要[3] |
| 補助率・上限 | 補助率2分の1、補助上限額5,000万円[5][6] |
| 主な取組の例 | 共同社員寮、温泉引湯管、共同循環バス、共同キッチン、コミュニティーガス事業、地域共同倉庫などの導入・改修と、それに伴うシステム構築[6] |
| 二次公募の期間 | 2026年7月8日〜8月18日[1][3] |
| 二次採択の公表 | 2026年10月2日[1] |
事務局の特設サイトによると、一次公募の採択は2026年7月16日に公表され、三次公募は8月27日から9月29日まで受け付けられました[5]。
Selected Projectsどのような取組が採択されたのか
一次・二次の採択事業を、タブで切り替えてご覧いただけます。計画の内容は、公表された計画名をもとに芸苑道が短くまとめたものです。芸苑道と各事業者との提携関係はありません。
| 採択事業者 | 実施地域 | 計画の内容(計画名から要約) |
|---|---|---|
| 乳頭温泉郷協同組合 | 秋田県仙北市 | 温泉引湯管の整備 |
| 株式会社DMC蔵王温泉ツーリズムコミッティ | 山形県山形市 | 空き家を活用した地域従業員用寮の改修・増設 |
| 湯遊つちゆ温泉協同組合 | 福島県福島市 | 共同配湯設備の安定化・DX推進 |
| 岳温泉管理株式会社 | 福島県二本松市 | 引湯管の共同改修 |
| 株式会社明神館 | 長野県松本市 | 地域の共同社員寮の整備 |
| 株式会社御所坊 | 兵庫県神戸市 | 有馬温泉の共同従業員寮の整備 |
| 城崎温泉旅館共同組合 | 兵庫県豊岡市 | 共同循環バスの高度化 |
| 株式会社島ファクトリー | 島根県隠岐郡海士町 | リネン供給の高度化 |
| 長門湯本温泉旅館協同組合 | 山口県長門市 | 共同社員寮の改修 |
| 有限会社黒川温泉農園 | 熊本県阿蘇郡南小国町 | チーズの共同製造による生産性向上 |
| 株式会社かりゆし | 沖縄県国頭郡恩納村 | 既存施設の活用プロジェクト |
出典:地域一体となった観光産業の効率化支援事業事務局「一次公募採択事業一覧」[4]。表記は一覧の記載に従っています。
| 採択事業者 | 実施地域 | 計画の内容(計画名から要約) |
|---|---|---|
| 株式会社第一寶亭留 | 北海道札幌市 | 社宅だった休眠施設2棟を共同社員寮に改修 |
| 有限会社一乃松 | 北海道函館市 | 人材確保に向けた社員寮の改修 |
| 株式会社リトモ | 新潟県新潟市 | 廃寺の共同キッチン化と一括予約システム |
| 株式会社八木 | 福井県あわら市 | あわら温泉での共同従業員寮の整備 |
| 株式会社鶴林精舎 | 山梨県南巨摩郡 | 宿坊のまち身延山でのインバウンド対応を中心とした効率化 |
| 稲取温泉旅館協同組合 | 静岡県東伊豆町 | デザートのセントラルキッチン |
| 懿慶株式会社 | 大阪府大阪市 | 地域共同利用型の荷物保管サービス |
| 皆生温泉観光株式会社 | 鳥取県米子市 | 配湯管の更新 |
| 株式会社風土創研 | 徳島県美馬市 | 「脇町全体を一つのホテルに」生活観光プラットフォーム |
| 琴平バス株式会社 | 香川県仲多度郡琴平町 | 古民家を活用した共同社員寮兼コワーキング拠点 |
出典:観光庁「地域一体となった観光産業の効率化支援事業 二次公募採択事業一覧」[2]。一覧には「現時点で公表可能な採択事業者」を掲載しているとの注記があります。
計画名から芸苑道が分類したもので、事務局による区分ではありません。共同の社員寮・従業員寮が21件中8件で最も多く、温泉の引湯・配湯設備が4件で続きます。
出典:観光庁・事務局の採択事業一覧(一次・二次)の計画名をもとに芸苑道が分類
人手不足への対応として、従業員の住まいを地域で共同して確保する計画が目立ちます。また、宿坊のまち身延山(山梨県南巨摩郡)や、町並み全体を一つのホテルに見立てる計画(徳島県美馬市脇町)など、地域の個性を生かした取組も含まれています[2]。
Evaluation Criteriaどのような点が審査されるのか
公募要領は、審査の観点として次の点を挙げています[6]。
- 生産性向上・効率化に役立つか:複数の宿泊施設等の共通課題を解決し、地域全体の効率化につながること。作業時間の削減や稼働率の向上など、効果を数字で説明できること。社員寮であれば、連携する事業者の数や利用人数の割合が多いほど評価が高くなるとされています。
- 地域内連携の実効性:運営ルールが設計され、持続的に運用できること。
- 具体性と実現可能性:設備の仕様・数量・場所・手順、役割分担やスケジュールが整理されていること。
- 新たな価値と需要の創出:取組の独自性により、地域として新しいサービスや体験の価値が生まれること。
事業者が単独で申請することもできますが、その場合は連携先候補を記載し、交付決定から1か月以内に連携同意書を提出する必要があります[5]。宿泊施設が使えるほかの国の支援制度は宿泊施設が使える国の支援制度【2026年度】、温泉地の廃屋再生の支援は温泉地の廃旅館の撤去・再生支援で紹介しています。
Our Proposal芸苑道からの提案:設備の共同化と、文化の時間の共同化
ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。
1.「一軒ではできないこと」を、地域で
今回の事業は、寮やキッチンのように、一軒の宿では負担が大きい設備を地域で分け合う考え方に立っています。文化の催しも同じで、一軒では毎週の演奏会を続けにくくても、近隣の宿と曜日を分けて開く、合同で一つの催しを開くといった形であれば、続けやすくなることがあります。
2.人手が限られる中での催し
人手不足が事業の背景にある以上、文化体験がスタッフの方の新たな負担になっては本末転倒です。芸苑道では、演目の選定から当日の進行、お客様への解説まで一貫してお引き受けし、貴施設のご負担をできるだけ抑える形をご提案いたします。
3.地域の空間を、催しの場に
採択事業には、廃寺や古民家、宿坊のまちを生かす計画も含まれていました。こうした空間は、伝統芸能の演奏の場としても大きな可能性があります。音の響きや客席の取り方など、現地の条件から実施できるかどうかを率直にお伝えいたします。演目の選定・空間の設え・進行の設計まで、講師1名あたり¥88,000〜を目安にご相談を承っております。
Ask Us貴施設に置き換えると
ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。
- 問近隣の宿と共同で取り組むとき、文化の催しも一緒に考えられるか複数の施設が合同で開く演奏会や、宿ごとに演目を変える形をご提案いたします。
- 問人手が限られる中で、文化体験を無理なく続けるには準備や進行を芸苑道が担い、スタッフの方のご負担を抑える形をお伝えいたします。
- 問共同で整えた施設を、催しの場としても使えるか寺院や古民家などの空間で演奏が成り立つかを、現地の条件から率直にお答えいたします。
ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →
Glossaryこの記事に出てくる用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 観光地域づくり法人(DMO)かんこうちいきづくりほうじん | 観光庁の説明では、地域の「稼ぐ力」を引き出し、地域への誇りと愛着を育てる観光地域づくりの司令塔として、多様な関係者と協働しながら戦略を策定・実行する法人のこと。 |
FAQよくある質問
どのような事業ですか?
複数の宿泊施設などが共同で使う設備(共同社員寮、温泉引湯管、共同循環バス、共同キッチンなど)の導入・改修を国が支援する事業です。観光地全体のサービス水準と労働生産性の向上を目的としています。
補助率と上限額はいくらですか?
補助率は2分の1、補助上限額は5,000万円です。
これまでに何件採択されましたか?
一次公募で11件、二次公募で10件の計21件が公表されています(2026年10月2日時点)。三次公募は2026年9月29日に受付を終えています。
Sources & References出典・参考文献
- 観光庁「令和7年度補正『地域一体となった観光産業の効率化支援事業』(二次公募)採択結果のお知らせ」2026年10月2日 https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo06_00089.html
- 観光庁「『地域一体となった観光産業の効率化支援事業』二次公募採択事業一覧」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002025236.pdf
- 観光庁「令和7年度補正予算『地域一体となった観光産業の効率化支援事業』二次公募開始のお知らせ」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo06_00076.html
- 地域一体となった観光産業の効率化支援事業事務局「一次公募採択事業一覧」 https://kouritsukashien-r8.go.jp/assets/front/file/01_saitaku.pdf
- 地域一体となった観光産業の効率化支援事業 特設Webサイト(事務局:株式会社JTB)お知らせ・よくある質問 https://kouritsukashien-r8.go.jp/
- 地域一体となった観光産業の効率化支援事業事務局「公募要領」(三次公募) https://kouritsukashien-r8.go.jp/document/koboyoryo3.pdf
本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年10月9日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。本記事は制度の紹介であり、法的な助言や補助の採否を判断するものではありません。申請にあたっては公募要領と事務局の案内をご確認ください。
