GEIENDO芸苑道

見るだけでなく「創る」旅
クリエイティブ・ツーリズムとは

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約6分
クリエイティブ・ツーリズムとは?見るだけでなく「創る」旅【Richards & Wilson 2006】
ANSWER

クリエイティブ・ツーリズムとは、訪問先ならではの講座や学習体験に旅行者が能動的に参加し、自分の創造性を伸ばす旅行を指します(Richards & Raymond, 2000の定義)。Richards & Wilson(2006)は、文化観光が各地で似たような施設や展示に収れんしていく問題への対応として、この考え方を論じました。

このテーマの全体像はこちら観光の「本物らしさ」は誰が決める?真正性研究の3つの理論【MacCannell・Cohen・Wang】

Backgroundなぜ「創る」旅なのか

Richards & Wilson(2006)は、博物館や遺産を「見る」形の文化観光が各地で似通っていく状況を「文化の連続的複製(serial reproduction of culture)」と呼び、差別化の難しさを指摘しました。そのうえで、技能を使う消費、アイデンティティの形成、文化資本の獲得といった現代社会の傾向が、創造性を軸にした観光へ向かわせていると論じています[1]。

vs Cultural Tourism文化観光との違い

観点従来の文化観光クリエイティブ・ツーリズム
旅行者の関わり方見る・鑑賞する参加する・つくる
主な舞台博物館・遺産・施設工房・教室・地域の生活の場
持ち帰るもの知識・写真技能の入口・自分でつくった経験
差別化資源の質に左右される担い手と地域性に根ざす
Richards & Wilson(2006)の議論をもとに当メディアが整理したものです。

Applying It in Japan伝統芸能の体験に置き換えると

ここからは芸苑道の見方です。

  • 「聴く」から「弾く」へ一歩進める。演奏を聴いたあと、実際に爪をつけて一音を鳴らすだけでも、体験の記憶は大きく変わります。
  • その土地ならではであること。クリエイティブ・ツーリズムの定義には「その滞在先ならでは」という条件が含まれます。地域の行事や曲目と結びつけると、意味が強まります。
  • 短時間でも成立させる。長い講座でなくても、数十分で「自分でつくった」と感じられる設計は可能です。
RELATED RESEARCHWelcome to the Experience Economy体験そのものが価値になるという経験経済の考え方も、同じカテゴリの記事で解説しています。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問短時間で「創った」と感じてもらうには数十分で完結する形をご提案いたします。
  • 問その土地ならではにするには何を足すか地域の曲や行事と結びつけられます。
  • 問繰り返し参加したくなる設計内容を変えた複数回の構成が可能です。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

Glossaryこの記事に出てくる用語

用語意味
文化観光ぶんかかんこう文化資源の観覧や、文化資源に関する体験活動などを通じて、文化についての理解を深めることを目的とする観光のこと。文化観光推進法(2020年施行)で使われている考え方です。
経験経済けいけんけいざい経済価値が「コモディティ → 製品 → サービス → 経験」と進化し、記憶に残る体験そのものが対価を得る商品になるという考え方。B・ジョセフ・パインとジェームス・ギルモアが1998年にHarvard Business Reviewで提唱しました。
それぞれの語をクリックすると、出典つきの詳しい解説をご覧いただけます。

FAQよくある質問

クリエイティブ・ツーリズムとは?

訪問先ならではの講座や学習体験に能動的に参加し、旅行者自身の創造性を伸ばす旅行のことです(Richards & Raymond, 2000の定義)。

文化観光とどう違いますか?

文化観光が「見る・鑑賞する」中心であるのに対し、クリエイティブ・ツーリズムは旅行者が参加し、自分でつくることを重視します。

なぜ注目されているのですか?

Richards & Wilson(2006)は、文化観光が各地で似通っていく「文化の連続的複製」への対応として、創造性を軸にした観光を論じました。

Sources & References出典・参考文献

  1. Richards, G., & Wilson, J. (2006). Developing creativity in tourist experiences: A solution to the serial reproduction of culture? Tourism Management, 27(6), 1209–1223. https://doi.org/10.1016/j.tourman.2005.06.002

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年9月18日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。論文の内容は当メディアによる要約です。正確な内容は原著をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト