GEIENDO芸苑道
インバウンド市場動向Where the Money Goes

高付加価値旅行者は
何にいくら使うのか

公開 更新 文・細川明日香(株式会社芸苑道 代表)読了 約7分
高付加価値旅行者は何にいくら使うのか——宿泊費の比重と、体験への支出
ANSWER

高付加価値旅行者(1人100万円以上を現地で使う旅行者)は、2023年で訪日客の2.4%にあたる59万人ながら、訪日旅行消費額の19.1%を占めました。2025年の確報で1人当たりの支出を見ると、費目では宿泊費が最も大きく(平均8万4千円)、体験や観劇を含む娯楽等サービス費は平均1万円で、市場ごとの差が大きい項目です。

このテーマの全体像はこちら訪日インバウンド市場の全体像【2025年確報データで読む】

Market Size少人数で、消費額の2割

JNTOの調査によると、2023年の訪日高付加価値旅行者は59.0万人(2019年比83.2%増)、消費額は1.0兆円(同50.6%増)でした。訪日客数に占める割合は1.0%(2019年)から2.4%へ、消費額に占める割合は14.0%から19.1%へと高まっています[1]。

指標(2023年)値2019年比
訪日高付加価値旅行者数59.0万人+83.2%
その消費額1.0兆円+50.6%
訪日客数に占める割合2.4%2019年は1.0%
消費額に占める割合19.1%2019年は14.0%
出典:JNTO(2025年6月11日発表)[1]

観光庁の定義では、高付加価値旅行者とは着地消費が1人100万円以上の訪日外国人旅行者を指します[3]。

Spending Breakdown1人当たりの支出は、どの費目に向かうか

1人当たり旅行支出の費目別内訳(2025年確報・一般客・全目的)
  • 宿泊費84,057円
  • 買物代61,136円
  • 飲食費50,221円
  • 交通費22,933円
  • 娯楽等サービス費10,295円

平均22万8,782円のうち、宿泊費が8万4,057円で最大です。

出典:観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年(確報)」図表5

宿泊費は英国(19万2,926円)、娯楽等サービス費はオーストラリア(3万5,165円)、買物代はシンガポール(10万620円)がそれぞれ最も高い値でした[2]。

Our Proposal芸苑道からの提案:宿泊費の隣にある「1万円」をどう設計するか

ここからは、芸苑道が宿泊施設の皆さまにお伝えしたい内容です。

統計を見て私たちが注目しているのは、娯楽等サービス費の平均1万295円という数字です。宿泊費8万4千円に比べれば小さく見えますが、これは「館外の観光施設やショーに使われた金額」も含んだ数字です。つまり、滞在中に使われるはずのこの予算は、多くの場合、館外に流れています。

1.館内で完結する体験は、この予算を受け止められる

チェックイン後の夕刻や、夕食前の時間帯は、お客様が館外へ出にくい時間です。この時間に館内で有料の文化体験を用意すると、これまで館外に向かっていた支出を、施設の売上として受け止められます。

2.オーストラリアのような市場から始める

娯楽等サービス費が突出して高い市場があります。こうした市場の予約が多い日に体験を設定すると、初期の成約率を確かめやすくなります。

3.「高付加価値旅行者」は価格ではなく中身を見ている

観光庁は、高付加価値旅行者について、消費額が大きいだけでなく、知的好奇心や探究心が強く、体験を通じて地域の伝統・文化に触れ、知識を深めることを重視する傾向があると説明しています[3]。高額であることより、その土地でしか受け取れない内容であることが選ばれる条件になります。

芸苑道は、東京藝術大学出身の実演家による演奏と、お客様が自ら楽器に触れる時間を組み合わせたプログラムを設計しています。料金は講師1名あたり¥88,000〜(税込、内容により変動)です。

Ask Us貴施設に置き換えると

ここまでは、公開されている資料にもとづく事実の整理です。実際に何をどのように組み立てるかは、貴施設の規模・立地・客層・繁閑の形によって変わります。芸苑道では、次のような点を伺ったうえで、貴施設に合う形をご提案しております。

  • 問館内で有料の体験を成立させるには、いくらが妥当かお客様の層と内容から、価格帯の考え方を整理してお伝えいたします。
  • 問宿泊プランに組み込むか、当日販売にするか販売方法によって参加率と手間が変わります。
  • 問夕食前の60分で、何ができるか時間の制約から逆算した構成をご提案いたします。

ご状況を伺ったうえで、実施できる形かどうかを率直にお伝えいたします。芸苑道へご相談はこちら →

Glossaryこの記事に出てくる用語

用語意味
高付加価値旅行者こうふかかちりょこうしゃ日本政府観光局(JNTO)の調査では、訪日旅行1回あたりの着地消費額(国際航空運賃を除く現地での消費額)が1人100万円以上の旅行を「高付加価値旅行」としています。
それぞれの語をクリックすると、出典つきの詳しい解説をご覧いただけます。

FAQよくある質問

高付加価値旅行者とは?

JNTOの調査では、訪日旅行1回あたりの着地消費額が1人100万円以上の旅行を高付加価値旅行としています。

高付加価値旅行者は全体のどのくらいですか?

2023年で訪日客数の2.4%(59万人)ですが、訪日旅行消費額の19.1%を占めています。

1人当たりの支出で最も大きい費目は?

2025年の確報では宿泊費(平均8万4,057円)です。次いで買物代、飲食費の順です。

Sources & References出典・参考文献

  1. 日本政府観光局(JNTO)「訪日の高付加価値旅行市場は消費額・旅行者数ともに大幅増加」2025年6月11日 https://www.jnto.go.jp/news/press/20250611.html
  2. 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要」2026年3月31日 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002020010.pdf
  3. 観光庁「高付加価値旅行者の誘客に向けて集中的な支援等を行うモデル観光地3地域を追加選定しました」令和6年9月27日 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001764408.pdf

本記事は、公的機関・国際機関・学術論文などの公開情報をもとに作成しています(確認日:2026年9月20日)。数値や制度は改定されることがあるため、最新の情報は各出典の公式発表をご確認ください。

WRITTEN BY

細川 明日香

株式会社芸苑道 代表取締役。箏・三味線奏者。東京藝術大学 修士課程修了、日本当道会 師範。伝統芸能の実演家として、訪日のお客様に向けた文化体験を企画しております。著者プロフィール 個人サイト